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大熊町立小学校の卒業式

 

 平素より、YAMANEKO楽舎の活動にご理解・ご協力いただき、誠にありがとうございます。 

 3月22日、会津若松市内で行われた大熊町立小学校の卒業式にYAMANEKO楽舎スタッフ3名で出席して参りました。

 

 熊町・大野小の子どもたちは、いまだに避難生活を続けながら、保護者の就労などの関係で友達が転居してしまうなど、さみしさを抱えているとうかがっています。地域の方々のご協力・先生方の熱いご指導の中、元気に卒業証書を受け取り、将来の夢を語っていました。 

「オリンピックで金メダルをとり、たくさんの大熊町民に笑顔になってもらいたい。」 

「復興の役に立つ仕事をしたい。生まれてから4年間、自然豊かな大熊町で育ちました。もう一度大熊町をこの目で見てみたい。そしてお世話になった大熊町に恩返しをしたい。」 

 子どもたちが震災というつらい経験と向き合い、故郷を大切に思うと同時に、前向きに生きようとする言葉。覗き込む1人ひとりの子どもたちが明日の希望であることを、実感して参りました。7名の卒業生は、震災当時4才。郷里の小学校小学校で学習したことがありません。100キロ離れた会津の地に廃校を利用した大熊町立小学校を立ち上げた8年前と比べると児童数は激減し、その中であっても、つらい体験をバネに未来に向かって顔晴っている子どもたちの姿に、力強さを感じ、元気をもらったような気がいたします。

 卒業生・在校生全員に復興の花ガーベラと伊豆ヴェルディ記念合唱団の皆様からお預かりしたベルくま君を贈らせていただきました。伊豆ヴェルディ記念合唱団の皆様が大熊っ子のために心をこめて手作りしてくださった、かわいいべるくま君に皆大喜びでした。

 活動を始めまして6年が経過いたしました。その間頒布した起き上がりこぼしは4800個。社会福祉協議会・観光協会・各種イベント主催団体の皆様からは、継続的なお力添えをいただいております。また、活動内容をより多くの方にご理解いただくために、新聞・ラジオなど地元メディアに取り上げていただいたこともありがたいことでした。さらに、お知り合いの方にこぼしや福島県産品を販布して下さったり、協力店を推薦して下さったりと、起き上がりこぼしの輪が人から人へ繋がり、広がっております。支援意識の低下が懸念されている中で、実に多くの皆様に継続的なご協力をいただいておりますこと、深く感謝いたしております。今回も、遠く静岡にも、大熊っ子を応援し、福島の問題を自分たちの問題としてとらえ、一緒に考えていこうとする方々が大勢いらっしゃることを、しっかりとお伝えして参りました。 

 第一原発の6基中4基のある大熊町は、放射能の汚染土壌の中間貯蔵施設となり、震災から8年を経た現在も、帰還の目途がたたず、仮設住宅・復興住宅で生活を続けている方々がいらっしゃいます。その一方で本年5月より大熊町大川原地区に建設された新庁舎が業務開始、避難指示解除が進み、さらには2022年度を目途に大熊町内への小学校の再建が打ち出されています。放射能による健康被害への懸念、さらには震災後避難先にて生活の基盤ができあがりつつある方々もいて、帰還希望者は2割にもみたないとの調査結果も発表されています。震災から8年が経過した現在でも、放射能問題や復興に関わる問題はまだまだ解決していないこととともに、未来を担う大熊っ子の成長する姿、福島の方々の生活の様子やご努力を、伝えていくことの必要性を痛感しております。

 今後も、起き上がりこぼし等福島県産品の頒布活動を継続するとともに、大熊町立小学校の子どもたちとの交流活動、福島の方々様子をより多くの方に伝える活動に力を入れていく所存です。昨年6月から、福島県産品頒布活動収益・クラフト講座収益を、大熊町立幼稚園・小学校・中学校の子どもたちとの交流活動、講演会・写真展・依頼授業などの福島の現状を伝える活動の経費として活用させていただいております。さらに、伊豆の国市内を中心に、福祉施設や学校との連携を深める取り組みを重視し、子どもたちとともに自然素材のクラフトの体験を通じて、地球環境の問題を考えていきたいと思っております。これからも、皆様のご理解ご協力・ご指導をよろしくお願い申し上げます。

 末筆ではありますが、益々のご健勝とご発展をお祈りいたしまして、御礼とさせていただきます。             

 2019331日    

 YAMANEKO楽舎 代表 市川 幸子